2012年02月27日

「ヌーダ・ヴェリタス」 グスタフ・クリムト

ヌーダ・ヴェリタス グスタフ・クリムト


グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862年7月14日 - 1918年2月6日)は黄金色を多用した豪華で装飾的な画風で19世紀末のウィーンを席巻したオーストリアの画家。

1897年、クリムトは象徴主義を掲げたウィーン分離派の初代総統に就任します。

そしてその2年後となる1899年の分離派展で公開されたのがこの「ヌーダ・ヴェリタス」(nuda veritas)。直訳すると「裸の真実」という意味になります。

絵の上部に銘文として掲げられているのが「おまえの行動と作品が万人に愛されることがかなわないのなら、少数の人間を満足させよ。多くの人間に愛されるものはろくでもないものだ」というシラーの言葉。

エジプトの女神「イシス」がモデルと思われる裸の女性は、真理を照らす鏡(水晶)を持ちながら、挑発的な表情で見るものを強く見据えます。

この絵は旧来の古いアカデミズムを否定する分離派としての姿勢を強硬に示した決意表明のようなものなのでしょう。

ただこの絵はそういった歴史的背景を無視しても素晴らしい名作と言えるのではないでしょうか。

素足に絡みつく大罪と嫉妬の象徴とされる蛇や、精子を思わす白い蒲公英。裸体の上背景に描かれた幾何学的な模様。そして下背景に描かれた明るくも調和していない形而上学的な模様。

こういった様々な要素が相俟って、この「ヌーダ・ヴェリタス」には何とも言えない神秘が流れているように思うのです。

グスタフ・クリムト (ニュー・ベーシック・アート・シリーズ) (タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)
「グスタフ・クリムト (ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:ジル ネレー
 出版:タッシェンジャパン
 発売日:2000-11-01
グスタフ・クリムト―女たちを描いた画家 (岩波アート・ライブラリー)
「グスタフ・クリムト―女たちを描いた画家 (岩波アート・ライブラリー)」
 [大型本]
 著者:ズザンナ パルチュ
 出版:岩波書店
 発売日:2009-09-18
グスタフ・クリムト―素描と絵画
「グスタフ・クリムト―素描と絵画」
 [大型本]
 著者:クリスティアン・M. ネベハイ
 出版:岩崎芸術社
 発売日:1999-01
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2012年02月21日

「ヴィーナスの誕生」 ウィリアム・アドルフ・ブグロー

ヴィーナスの誕生 ウィリアム・アドルフ・ブグロー

ウィリアム・アドルフ・ブグロー(William Adolphe Bouguereau, 1825〜1905)は19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家。日本語では「ブーグロー」とも表記されます。
アングルなどの新古典主義の流れを汲み、キリスト教、神話、文学などを題材にし、天使や少女などの絵を多く残しました。

「ヴィーナスの誕生」は1879年の作品。

この主題ではサンドロ・ボッティチェッリの作品が有名ですが、ブグローの「ヴィーナスの誕生」はボッティチェッリのものと比較して、より官能的に描かれています。

ボッティチェッリの作品の中でヴィーナスは恥らうかのように自らの裸体を隠そうとしていますが、このブグローの作品の中ではむしろその裸体を誇るかのよう。周りに描かれたニンフもヴィーナスの誕生を祝福しているというよりは、ヴィーナスには無関心で、ケンタウロスを誘惑しているように感じられます。

ボッティチェッリの作品はその誕生の瞬間をより神話的に描いてあって個人的に好きなのですが、ヴィーナス独特の肉感的な美しさという点ではブグローの作品の方がよく表現されているように思います。

ウィリアム・ブグローの生涯
「ウィリアム・ブグローの生涯」
 [単行本]
 著者:マリウス ヴァション
 出版:東洋出版
 発売日:2001-05
ウィリアム・ブグロー発見への旅
「ウィリアム・ブグロー発見への旅」
 [単行本]
 著者:米永 輝彦
 出版:新風舎
 発売日:2005-09
Bouguereau
「Bouguereau」(ブグロー画集)
 [ペーパーバック]
 著者:Fronia E. Wissman
 出版:Pomegranate
 発売日:1996-04
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2012年02月09日

「Love Takes Flight」 ウィリアム・アドルフ・ブグロー

Love Takes Flight ウィリアム・アドルフ・ブグロー

ウィリアム・アドルフ・ブグロー(William Adolphe Bouguereau, 1825〜1905)は19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家。
アングルなどの新古典主義の流れを汲み、キリスト教、神話、文学などを題材にし、天使や少女などの絵を多く残しました。

Love Takes Flight(愛の飛行)はブグロー晩年の1901年の作品。

クピードー(キューピッド)と若い女性の戯れる姿が描かれています。

クピードー(Cupido)は、ローマ神話の愛の神。
美しい少年の姿で、背中に翼があり、弓と黄金の鏃の矢を持っています。この矢で撃たれた者は激しい恋心に支配されると言われています。

そんなクピードーは「ファーストキス」(左下)や「キューピッドと蝶」(右下)などブグローが多数の作品で描いたお気に入りの題材でした。
ウィリアム・アドルフ・ブグロー ファーストキス   キューピッドと蝶 ウィリアム・アドルフ・ブグロー

「Love Takes Flight」の中でクピードーはちょうど黄金の矢を箙から取り出すところ。若い女性はそれを求めるかのように手を差し出します。ブグロー独特の光を纏ったかのような白い裸体もあいまって、非常に美しく可愛らしい光景ではないでしょうか。

ウィリアム・ブグローの生涯
「ウィリアム・ブグローの生涯」
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 著者:マリウス ヴァション
 出版:東洋出版
 発売日:2001-05
ウィリアム・ブグロー発見への旅
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 発売日:2005-09
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「Bouguereau」(ブグロー画集)
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 著者:Fronia E. Wissman
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2012年01月29日

「A Woman for Gods」 パウル・クレー

A Woman for Gods パウル・クレー

パウル・クレー(Paul Klee、1879年12月18日 - 1940年6月29日)は20世紀のスイスの画家、美術理論家。「色彩の魔術師」と言われ、数多くの幻想的で可愛らしい作品を世に送り出しました。

1938年に描かれた「A woman for Gods」はクレー晩年の作品。

可愛らしい色彩とは裏腹に、女は窮屈な形でキャンパスに押し込まれ、肢体はあらぬ方向に折れ曲がり、腕は切断されています。体に描かれた太陽や月など数多くのものを暗示しているようですが、理解するのは困難ですね。

解説代わりにクレーの言葉を記載しておきたいと思います。(少しは参考になるかと思うので・・・)

■「芸術とは目に見えるものを写すことではない。見えないものを見えるようにすることなのだ。」

■「絵というものは、たとえいかに純粋な絵そのものとして描かれようとも、つきつめてみれば、もはや絵ではないのだ。それは象徴なのだ。幻想の線が画面に投影され、高い次元に深くくいこめばくいこむほど、ますますすばらしい画となるのだ。」

■「私たちの激しく高鳴る心は、私たちを深く深く、根源へと駆り立てます。この根源への衝動から生じてくるものは、たとえそれを夢、概念、空想と呼ぼうが、適切な造形手段を用いて、それが見事な芸術作品を形づくる場合にはじめて重大な意味をもつようになります。そうなれば、生を普通に見えるよりは、少しばかり広くするあの珍しいことが現実、芸術上の現実となります」

■「何か知らぬが、心深く、なごやかに染み渡るものがある。それを感ずると、私の心は、安らぐ。齷齪するまでもない。色は、私を捉えた。自分のほうから色を探し求めるまでもない。私にはよく分かる。色は私を永遠に捉えたのだ。私と色とは一体だ。」

個人的には大好きな画家の一人。少しでもファンが増えてくれると嬉しいです。

クレー (ニューベーシック) (ニューベーシックアートシリーズ)
「クレー (ニューベーシック) (ニューベーシックアートシリーズ)」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:スザンナ・パルチュ
 出版:タッシェン
 発売日:2003-04-03
クレーの日記
「クレーの日記」
 [単行本]
 著者:パウル・クレー
 出版:みすず書房
 発売日:2009-03-26
もっと知りたいパウル・クレー―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
「もっと知りたいパウル・クレー―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)」
 [単行本]
 著者:新藤 真知
 出版:東京美術
 発売日:2011-04
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2012年01月24日

「ダンサー」 フランツ・フォン・シュトゥック

ダンサー フランツ・フォン・シュトゥック

フランツ・フォン・シュトゥック(Franz von Stuck、1863年2月23日 - 1928年8月30日)は、分離派(ミュンヘン分離派、1892年)の創始者の一人であるドイツの画家・版画家・彫刻家・建築家。

神話に取材した寓意的な絵や、宗教画、肖像画を多く描きましたが、「spring dance」(左下)や「Ring a Ring of Roses」(右下)のように舞踏に関する作品も複数残しています。

シュトゥック spring dance  シュトゥック ring-a-ring-of-roses

「ダンサー」は1896年の作品。

闇の中に浮かぶ白き肉体。二つの異なる肉体が麗しきリズムの中、一つの運動として統一されます。
その妙なる調和に恍惚とする女。体躯は躍動し、晴れやかに伸び上がります。
裸体に僅かに纏いし薄衣は白き焔のよう。

シュトゥック特有の引掻くような筆致が、舞踏の躍動感と世界への融和をよく表現した素晴らしい作品だと思います。

ミュンヘン近代美術展―世紀末から青騎士へ シュトゥック・カンディンスキー・クレー (1977年)
「ミュンヘン近代美術展―世紀末から青騎士へ シュトゥック・カンディンスキー・クレー (1977年)」
 [−]
 出版:ミュンヘン近代美術展北海道実行委員会
 発売日:1977


Franz Von Stuck: Meisterwerke Und Malerei
「Franz Von Stuck: Meisterwerke Und Malerei」
 [ペーパーバック]
 出版:Hirmer Verlag
 発売日:2008-12-31

posted by 裸の人 at 16:29 | Comment(0) | フランツ・フォン・シュトゥック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする