2010年11月08日

「快楽の園」 ヒエロニムス・ボス

快楽の園 ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch/本名:Jeroen van Aken、1450年頃- 1516年8月9日)は、ルネサンス期のネーデルラント(フランドル)の画家。聖書を題材に暗喩や寓意を多用した作品を多く残しました。


「快楽の園」はそのボスの代表作。

作品は三連祭壇画(3枚のパネルからなる祭壇画)の形式。閉じた状態では神による天地創造の様子が描かれており、パネルを開くと神によって創られた人間世界が現れるという方式になっています。

快楽の園 ヒエロニムス・ボス


パネルを開扉した時、左側に描かれているのがエデンの園を追放される前のアダムとイヴ。泉の中央に位置するのは「生命の樹」で、アダムの後ろ側にあるのが「知恵の樹」でしょうか。どちらも奇怪な姿をしているのが印象的です。


中央のパネルはこの絵のタイトルにもなっている「快楽の園」。「好色の罪」を表現していると言われるこのパネルでは無数の男女が裸になって入り乱れ、逸楽に耽っている様子が描かれています。

このパネルで目に付くのが隠喩の数々。低次元の欲望を象徴する獣たち、男性器を意味する魚、快楽の儚さを表す果実や花の数々、幸福の脆さを示す水晶玉など、絵の至る所に隠喩が散りばめられています。

全体的に明るい雰囲気で描かれており、露骨な性描写もないため、快楽に対する批判を直接感じることはありませんが、好色に対する非難は十分に表現されているのです。


そして右のパネルに描かれているのが淫欲の罪を犯した人間たちが責め苦を味わう「音楽地獄」になります。これまでの左・中央のパネルで描かれていた明るい雰囲気とは異なり、陰惨な暗いトーンで描かれているのが特徴的。生物かどうかも分からない奇怪な姿をした化け物たちに好色の罪を犯した人間たちが嬲りものにされる様子が描かれています。


この「快楽の園」は数多くの寓意や、現実世界には存在しない印象的な生物や建物が多くあるため、その解釈を巡って何世紀も議論が繰り広げられ、今でもその決着は着いていません。

もちろん主題は「好色への戒め」というところにあるのでしょうが、何重にも張り巡らされた寓意は人間の営みの複雑性が現れているようにも感じます。

そしてこのように「快楽の園」に表現されている「現実を超越した非現実」はシュールレアリズムそのもの。ヒエロニムス・ボスがシュールレアリズムに多大な影響を与えたと言われるのも十分に分かる気がします。

ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を読む
「ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を読む」
 [単行本]
 著者:神原 正明
 出版:河出書房新社
 発売日:2000-12
「悦楽の園」を追われて―ヒエロニムス・ボス
「「悦楽の園」を追われて―ヒエロニムス・ボス」
 [単行本]
 著者:中野 孝次
 出版:小学館
 発売日:1999-04
ヒエロ二ムス・ボス (ニューベーシック)
「ヒエロ二ムス・ボス (ニューベーシック)」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:ヴァルター・ボージング
 出版:タッシェン
 発売日:2007-03-25

posted by 裸の人 at 22:21 | Comment(0) | ヒエロニムス・ボス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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