2010年09月28日

「世界の起源」 ギュスターヴ・クールベ

世界の起源 ギュスターヴ・クールベ

ギュスターヴ・クールベ (Gustave Courbet、1819年6月10日〜1877年12月31日) は、写実主義を代表するフランスの画家。

当時のフランスで主流だったロマン主義に対抗し、現実を理想化せず、ありのままに捉えようと訴えた「レアリスム宣言」で有名です。

「レアリスム宣言」の中でクールベは「私は古今の巨匠達を模倣しようともなぞろうとも思わない。「芸術のための芸術」を目指すつもりもない。私はただ、伝統を熟知した上で私自身の個性という合理的で自由な感覚を獲得したかった。私が考えていたのは、そのための知識を得る事、私の生きる時代の風俗や思想や事件を見たままに表現する事、つまり「生きている芸術(アール・ヴィヴァン)」を作り上げる事、これこそが私の目的である。」と述べています。


クールベが47歳の時に描かれた「世界の起源」は、まさにクールベの写実主義が凝縮された作品と呼べると思います。

作品の中では女性の顔さえも描かれることなく、女性の性器・乳房のみに注目しています。

エロティックな雰囲気を醸成しようという様子は見られず、ただただ生殖器を理想化することなく、冷徹な観察眼をもって、あるがままに表現しています。


もちろんこの絵がここまで性器に固執しているのは注文者であるオスマン帝国の前外交官ハリル=ベイ個人の意向も大きく働いているでしょう。

ハリル=ベイはこの絵を普段は隠し、親しい友人が来た時にだけ余興として公開したそうです。

その後、「世界の起源」は所有者を転々としながら、精神分析者で哲学者のジャック・ラカンのもとへと逢着します。そしてラカンもハリル=ベイ同様に特別なお客様が来た時にだけ、普段はカーテンの奥にしまってあるこの絵を人目に曝しました。

そのような暗い密室的な愉しみ方は一見悪趣味ですが、この絵の持つ特異性を思えば当然とも言えるかもしれません。

ギュスターヴ・クールベ (ニューベーシック)
「ギュスターヴ・クールベ (ニューベーシック)」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:ファブリス・マザネス
 出版:タッシェン
 発売日:2007-07-31
ギュスターヴ・クールベ―ある画家の生涯
「ギュスターヴ・クールベ―ある画家の生涯」
 [単行本]
 著者:マリー・ルイーゼ カシュニッツ
 出版:エディションq
 発売日:2002-02

posted by 裸の人 at 16:03 | Comment(0) | ギュスターヴ・クールベ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする