2010年09月30日

「遍歴の騎士」 ジョン・エヴァレット・ミレイ

遍歴の騎士 ジョン・エヴァレット・ミレイ

ジョン・エヴァレット・ミレイ(John Everett Millais, 1829年6月8日〜1896年8月13日)は、ラファエル前派を代表する19世紀のイギリスの画家。

優雅かつ繊細なタッチと細部までに至る徹底したこだわりが特徴で、その多くの絵からは何ともいえない哀しい情趣が漂います。題材は歴史・文学から取ることが多く、ハムレットを題材にしたオフィーリア(下絵)は特に有名。

オフィーリア ミレイ



さて「遍歴の騎士」はミレーが女性のヌードを描いた唯一の作品。16世紀に最盛を極めた騎士道物語を題材に描いたものと思われます。

「騎士道物語」は騎士が武者修業のため、見知らぬ土地を冒険し、美しい貴婦人の為に住民達を苦しめる強大な敵(しばしばドラゴンや巨人といった想像上の怪物を含む)を倒し王に認められるというストーリーが典型的なストーリー。

この「遍歴の騎士」でも服を剥ぎ取られた状態で木に据え付けられた女性が騎士によって救出されるシーンが描かれています。

騎士の剣には何ものかを倒した証であろう血糊がつき、画面の右上には逃げ惑う悪人の小さな姿。

騎士に背を向ける女性の表情を窺うことはできませんが、救われることへの喜びよりも、このような辱めを受けたことに対する悲しみが勝っているように感じられます。

物語的には幸せな結末を迎え盛り上がる場面なのでしょうが、哀感漂うシーンになってしまうのはミレーの世界観がなせる技でしょうか。

なおエックス線写真によると元々「女性は騎士のほうを向き騎士と見つめ合う」という構図を取っていたことが分かっています。
もしかすると元々は物語に忠実に幸せな情景を描いていたにもかかわらず、作品が売れなかったため自分の得意分野の方向に描き直したのかもしれません。

ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)
「ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)」
 [単行本]
 著者:ローランス デ・カール
 出版:創元社
 発売日:2001-03


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posted by 裸の人 at 17:54 | Comment(0) | ジョン・エヴァレット・ミレイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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